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ジョブズ的発想を持ちましょうよ。

 クリスマス直前は、毎年、生徒会のリーダー研修会です。ここ数年、1泊2日で行っています。

 まずは、学校の課題を出し合い。あらゆる課題を自分事として考えさせます。(結構責めます。)そして、課題の奥に潜む人間の考え方や価値観を引っ張り出します。そして、どんな学校にしたいかを語り合い、目標を決めていきます。

 私は、3年担任ですが、生徒会担当として参加しました。

 「課題を挙げてごらん」というと役員の生徒たちは、付箋に課題を書いていきます。あっという間に、ホワイトボードは、課題が書かれた付箋でいっぱいになります。

 「じゃあ、課題が書けるということは、みんな、この課題を認識しているということだよね。じゃあ、改善するために、今までやってきたことを言ってみて?」というと、今までの勢いはなくなり、1つ1つの課題に向き合っていきます。

 「じゃあ、これらの課題に共通する心理や考え方、価値観って何なんだろう?そこを、改善していけば、とってもハッピーになれると思うんだけど…。」

 「・・・」

 「先生、わかりません。」

 「じゃあ、ここにいるみんなで一緒に考えてみようよ」

 「はい」(座って隣の人と話す)

 「・・・」

 「わかりません」

 

 リーダー研修会に参加した生徒は1・2年生。『学び合い』は恐らく体験したことがありません。

 「先生、正解はなんですか?」

 「正解なんてないんじゃない?でも、答えはあるよ」

 

 そうなんです。子どもたちは教師の考える「正解」を見つけようと、あたかもクイズを解くように言葉をながめているんです。

 『学び合い』では、「全員がだれとでも自分自身を偽ることなく接し、協力できる世界は、とてつもなくハッピーである」という揺るがない目標に向かって、すべての活動が行われます。

 左の図の、"Why"の部分です。そして、どのようにして実現していくかを選択、決定します。これは、生徒自身が行うことです。これが、"How"に当たります。

 そして、それを目に見える行動に移していきます。これが、"What"にあたります。

 スティーブ・ジョブズは、プレゼンを行う際、図の中心から外に向かって、聞いている人の思考を促します。

 「私は、世の中をもっと快適で、みんなが幸せになれる世界を作りたいのです。」これが、"Why"

 「そこで、私は電話、メール、インターネットのそれぞれを見直しました。電話からは、ボタンをなくしました。そして、いつでもメールをチェックできるべきだと考えました。だれもがインターネットにつながれる世界を作りたいとも思いました。それを、1つのデバイスで…。」これが、"How"

 「それを可能にしたのが、このiphoneです」これが、"What"

しかし、私たちはよく、テレビの通販番組風に物事を考えてしまします。

「今日は、すごい空気清浄機の紹介です」これは、"What"

「この空気清浄機は、すごいフィルターとイオンの力で、ホコリや花粉を99%除去できるすごいものなんです」これは、"How"

多くの場合、あと価格の提示があって終わりです。

"Why"がないんです。

 

生徒会の活動もこれに陥りやすいのです。取り組みありきで、どのように行うかだけを考えてしまします。そこには、自分たちの理想や夢などがないんです。

 

授業ではどうでしょうか?めあては"What"ですね。教師が"How"を紹介したり、子どもたちが活動を行ったりして"How"を見出したりします。

そして、終末に再び"What"に戻り、まとめを行います。

授業の"Why"は???

 恐らく、自分のクラスの生徒たちは、なぜ、仲間と協力するのかの理由が言えます。いじめをしてはいけない理由も言えます。教えたこともありますが、生徒たちは、全員を意識することの大切さや、全員で達成することの達成感や幸せを感じています。そして、それが一生続くことを望んでいます。このような大きな目標や価値観が、あらゆることの"Why"なのではないかと思います。

 

 目先のことだけを意識するような生活を送っていては大切なことを見失いがちです。今回のリーダー研修会で、まず、子どもたちに"Why"を見つけ、まずは、自分自身で実感できる機会を作ろうと思いました。